法人のメリット

起業の際のご相談で最も多い質問です。

売上の規模や、利益の金額によって法人がいいのか、個人事業がいいのか、は変わってきます。
最初からそれほど利益は出ない、というのであればまずは個人事業から始めて様子を見ながら法人に移行していく、
というのが一般的ですが、取引先の要望からいきなり会社を立ち上げてスタートしなくてはならない等、状況はそれぞれ。
そこで、今回は法人か個人事業か、有利不利の見極めはどうするのか?何を目安にすべきなのか?
について会計のプロの立場から、解説をしたいと思います。

まずは個人事業と法人の違いについて

法人を立ち上げるには、法務局で『登記』という会社の登録のための手続きが必要となります。
この登記手続きを行うと法人の名称や所在地、代表者の住所等、誰でも法務局で閲覧が可能となります。
そういった意味では『法人=公的な存在』であり、だからこそ法人設立については公的な存在になるんだ!という覚悟を決めてなくてはいけません。

さらに、この法人設立登記については株式会社で約25万円、合同会社で約10万円の費用がかかります。もちろん資本金の額も信用力に大きく影響します。
以上のような理由から、一般的に個人事業よりも信用力が高くなります。

そして個人事業と法人では税金の計算方法が異なるということも押さえておきたいところです。
一定水準の利益・所得金額を超えた場合には、法人の方が税負担の面で有利になるケースが多いのです。

それでは、具体的に会社設立のメリット、デメリットについて整理してみましょう。

会社設立(法人)のメリット

メリット1:やっぱり信用力が高い!

法人は組織力の強化や資金集めをしやすいため対外信用力があり、一般的に取引先の開拓や従業員確保等に有利と言われています。
名刺交換の際でも『株式会社○○○ 代表取締役×××』とあるだけで印象が違うはずです。
一方、個人事業は取引先や金融機関等への対外信用力が弱く、資金を集めることが困難になりがちです。

しかし、平成18年の商法改正等により資本金1円でも会社設立が可能となり、誰でも会社を立ち上げられる時代ですので、
必ずしも法人化すれば信用力万全である、というわけではないと肝に銘じておきましょう。

メリット2:節税がしやすい!

売上から経費を差し引いて残った利益に対して税金がかかります。この利益に対してかかる税金ですが、
個人の場合は所得税が、法人の場合は法人税が課税されることとなります。

この所得税と法人税の計算構造は異なり、一般的には法人の方が節税メリットを受けられる機会が多く、節税には有利となります。

まず、法人税は利益の金額が高くなっても原則税率は一定(最高23.9%)であるのに対して、
所得税では所得が増えれば増えるほど税率も高くなる仕組み(最高45%)になっています。(これを『超過累進税率』と言います。)

そのため、売上金額が大きく一定規模の利益が出る場合は法人の方が税負担が有利になります。その他にも、法人じゃないと落とせない経費がいくつかあります。

個人事業主の場合、売上から経費を差し引いた残りの金額が全て自分の取り分、所得になります。その所得金額をベースに税率を掛けて税金の計算をします。
一方、法人の場合は会社が社長である自分自身に給与を支払う形になり、『法人』は個人である社長自身とは別の存在となるのです。

会社が社長に支払う役員報酬は会社の経費となり、法人税の節税に繋がります。しかしながら、役員報酬は社長が受け取る給与であるため、
当然社長には所得税等が課されます。

会社を設立する場合はこの法人税と社長自身が負担する所得税等の合計額を計算して、
個人事業のままとした場合の税負担とどちらが大きいのか見極めるのが重要なポイントです。

メリット3:消費税が免除される!消費税の免除期間を最大にする方法

個人事業でも法人でも、創業当初の2期間は消費税が原則免除されます。
(ただし、第1期の半年間の売上と給与等の金額共に1,000万円を超える場合や資本金1,000万円以上の場合、一定規模の法人の子会社として設立する場合等例外規定があります。)

この制度をうまく活用すれば、まず個人事業として創業して2年後に廃業、法人成りすれば最長4年間の消費税免除を受けることが可能になります。

ただし消費税の免税制度を巡っては、税制改正がここ数年頻繁に行われているため注意が必要です。

メリット4:資金調達がしやすい(融資審査が有利!)

会社運営においては利益よりもキャッシュつまり現金が重要なものとなります。我々の体内を流れる血液と同様に、事業運営には現金が大切なのです。

この資金が必要なとき、金融機関から資金調達をする必要がありますが、個人事業の場合は融資条件が法人よりもやや厳しくなります。
これは個人事業の場合、青色申告で一定の場合しか、貸借対照表の添付が義務付けられていないことが理由です。

法人の場合は損益計算書のほか、貸借対照表等も作成が義務付けられているため銀行等でも正確な融資判断が可能となり、融資審査に通る可能性が高くなるのです。

メリット5:事業承継がシンプルになる

個人事業の場合、事業主が死亡して相続が発生すると、個人名義の預金口座が一時凍結されてしまい資金繰りに支障をきたします。
その他、個人名義の事業用資産は全て名義変更が必要となります。法人の場合は代表者所有の自社株式を相続すれば済みますので事業のバトンタッチが非常にシンプルになります。

メリット6:優秀な人材を集めやすい

やはり社会的に個人事業よりも会社組織の方が安定している、と捉えられることが多く、信用力が高いイメージがあるのは言うまでもありません。
雇われる側となれば安定的な雇用を求めますので、法人の方が採用に有利であると言えるでしょう。

メリット7:決算日を自社にとって有利に決められる

個人事業の場合は12月決算、つまり1~12月で決算し申告を行うのに対して、法人の場合には決算日を自由に決めることが可能です。

繁忙期における決算事務の負担や納税による資金繰り等を考慮したり、戦略的な決算を行うことが可能になり、節税の幅が広がることもあります。

会社設立(法人)のデメリット

デメリット1:設立費用が約10万~約25万円かかる。さらに、会社維持のための費用がかかる。

会社を立ち上げる場合には設立登記や定款の作成等が必要となるため個人事業よりもコストがかかります。株式会社の場合は25万円前後、合同会社の場合は10万円前後です。

また、会社を維持するためのコストも個人事業より高くなります。

例えば、赤字申告の場合でも課税される税金があります。これを法人住民税の均等割と言うのですが、個人事業の場合は4千円前後であるのに対して法人は7万円前後、と高額になります。

また、会計帳簿の作成や申告書も法人の場合は複雑になるため会計事務所にこれらの作業を依頼した場合の費用も個人事業よりやや高くなります。

デメリット2:経理処理が大変

個人事業では、簡易帳簿といわれる簡単な記帳で済ませることが可能ですが、法人では複式簿記による記帳が必須であるため、事務処理に手間がかかります。
最初は一人で起業するつもりでも、忙しくて経理処理をする時間が取れなかったり、どうしても会計が苦手な場合は経理専任のスタッフを雇ったり外部に依頼することになるでしょう。

デメリット3:社会保険に強制加入義務がある。

個人事業では社会保険への加入は一定の場合を除き任意ですが、法人では強制加入となります。その結果、社員の保険料に係る会社負担分だけ費用負担が増加します。
社会保険の費用負担は経営の上でばかにならない額です。雇用の際は必ず社会保険分のシュミレーションも行うことをおすすめします。

まとめ

以上のような法人・個人事業のメリット・デメリットを参考に、どちらの形態をとるか慎重に検討しましょう。

先述の通り、一般的にはまず個人事業として営業を開始し、法人とした場合の信用力向上・節税効果の有無を考慮に入れながら、タイミングを見計らって法人化するといったパターンが現在の主流となっています。

消費税の免税メリットだけを考えると、個人事業で2年程事業を営んでから法人成りする、というのも得策です。

しかしながら、起業すると、商品開発に集客・マーケティング、営業に人事や経理等の内部管理体制の構築等あらゆることをしなくてはなりません。しっかりと会社経営に取組み、
元気で強い会社をつくる、というのが最も重要なことです。メリットのみではなく、ご自身の事業運営上のニーズも含めて法人を作るか個人事業で始めるか、検討してみてはいかがでしょうか。

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